分散投資は、大きな損失を避け、中長期で資産を増やしていく運用手法です。「すべての卵をひとつのカゴに盛るな」という相場格言があります。卵をひとつのカゴにだけ盛ると、そのカゴを落とした時に全部割れてしまうので、複数のカゴにわけておく必要があると、分散投資の必要性を述べた言葉です。今回は、分散投資の種類からメリット・デメリットと共に具体的にどのように分散投資を行ったらいいのかを詳しく解説していきます。まずは、分散投資の定義から見ていきましょう。

分散投資とはリスクを低減させること

分散投資とは、投資対象を増やすことで、資産運用に伴う価格変動リスクを減らしてリスクを低くすることです。例えば、株式を1社だけ購入した場合、大幅な下方修正や不祥事などが起きると大きな損失がでてしまいます。

しかし、10社など複数の企業の株式を購入していた場合、1社あたりの損失の割合を減らすことができ、他の会社の値上がり益でカバーできることがあります。1つの企業より複数の企業の株式を保有しておけば、リスクを減らすことができるのです。

さらにいえば、業種、国や地域、ことなる金融商品(債券や不動産)など、投資対象の種類を増やすほど、分散効果がでてリスクを軽減させることが可能になります。

投資におけるリターンとリスク

リターンとは、投資で得られる収益のことです。そして、投資における「リスク」とは、「危険」という意味ではなく、「結果が不確実であること」を意味します。つまり、リターン(収益)の振れ幅のことです。下の図をご覧ください

証券Aに比べると、証券Bの方が価格の振れ幅が大きくなっています。この場合、有価証券Bの方が「リスクが高い」といえます。

リターンとリスクの関係

リターンとリスクの関係は表裏一体の関係です。「リスクが大きいほどリターンが大きい(ハイリスク・ハイリターン)」「リスクが小さいほどリターンが小さい(ローリスク・ローリターン)」となります。預貯金、債券、株式のリスクとリターンの関係は以下のようになります。

預貯金が一番「ローリスク・ローリターン」、外国株式が一番「ハイリスク・ハイリターン」になります。

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分散投資の方法は4

分散投資には次の4つがあります。

1.商品の分散

2.地域の分散

3.通貨の分散

4.時間の分散

それぞれ詳しく見ていきましょう。

商品の分散

主に、株式と債券など異なる金融商品を組み合わせて分散します。その他、預貯金・不動産・投資信託などがあります。さきほどのリターンとリスクの関係のように、株は債券に比べてハイリスク・ハイリターンです。リスクをとってリターンを目指すほど株式の比率を上げ、リスクを抑えるほど債券の比率を上げるようにします。

地域の分散

国内と海外、先進国と新興国、アメリカ、欧州、アジアなど異なる地域に分散することです。国内より海外、先進国より新興国の方がハイリスク・ハイリターンになります。

通貨の分散

円だけでなく、米ドル、豪ドル、ユーロなど外貨建て資産で分散します。通貨を分散しておくことで、円の価値が下がっても、他の通貨で補完することができます。特に、世界の基軸通貨である米ドルを保有しておくと分散効果が高まります。

商品や地域の異なる「国内株式・国内債券・外国株式・外国債券」の4つの分類に分けた投資対象資産を「伝統的4資産」と呼んでいます。伝統的4資産に資金を振り分けることで、基本的な国際分散投資が可能になります。

時間の分散

投資するタイミング(時間)を分散することで、高値掴みを回避するリスクを低減させることです。投資では安く買って高く売れば利益になりますが、現在の価格が安いかどうか判断することは困難です。そこで、一度にまとめて買うよりも、時間をあけて複数回にわけて購入することで、高値で購入するリスクを抑えることができます。

時間の分散では、「ドルコスト平均法」がよく使われます。

ドルコスト平均法とは

ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を、定期的に一定金額購入していくことです。価格が低い時は多くの口数を購入し、価格が高い時は少ない口数を購入することによって、平均買付単価を下げることを目指します。

ドルコスト平均法は、一般には投資信託でおこないます。投資信託は少額から購入できること(ネット証券では100円~)、金額指定で買うことができるなどの理由からです。

以下の図をご覧ください。毎月20,000円購入(ドルコスト平均法)と、毎月20,000口購入した場合の購入口数と購入金額を表したものです。

ドルコスト平均法の平均買付価額は8,696円、毎月20,000口購入した場合は10,600円となり、ドルコスト平均法の平均買付価額が低くなっていることがわかります。

分散投資のメリット・デメリット

それでは、分散投資のメリット・デメリットを見ていきましょう。

分散投資のメリット

▶︎売買タイミングを気にしないで済む

1つの銘柄に集中投資する場合は、売買タイミングが重要になります。短期的な価格変動に合わせて取引する必要があります。しかし、分散投資では、長期的な価格変動を意識して行うため、売買タイミングを気にしなくても済みます。

資産や地域を分散して、時間も分散(ドルコスト平均法)すれば、長期での世界経済の発展を利益にできるのです。短期的には価格変動が大きい年があっても、10年以上の長期で運用を行えば、安定した利益を得られる可能性が高まります。

分散投資のデメリット

▶︎短期間で大きなリターンをだすのが難しい

分散投資はリスクを減らすことができますが、その分リターンも減ります。個別株を1銘柄保有していた場合、短期で20%上がった場合は利益がそのままもらえますが、10銘柄に分散していた場合は、利益率は10分の1、つまり2%分の利益しかないということになります。

分散投資は、集中投資と比べると大きなリターンを短期でだすのは難しいのです。ですから、分散投資は長期でじっくり資産を増やしていく手法だと理解するようにしましょう。

分散投資の具体例

それでは、分散投資はどのように行えばいいのでしょうか。まず、投資対象としてはインデックスファンドETFをおすすめします。

インデックスファンドとは、例えば国内なら日経平均株価やTOPIX、米国ではNYダウやS&P500など株価指数に連動するものが代表的です。また、インデックスファンドを株のように取引きできるようにしたのがETF(上場投資信託)です。

指数は数十~数百の銘柄で構成されています。そのため、インデックスファンドやETFを購入するだけで簡単に分散投資することができます。

また、指数には株価指数の他にも債券、商品、不動産など様々なものがあります。ただし、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の「伝統的4資産」が基本になります。

ポートフォリオはどのようにすればいい?

それでは、どのように伝統的4資産を組み合わせていけばいいのでしょうか。金融商品の組み合わせのことを「ポートフォリオ」といいます。それぞれの株や債券の比率を決めることです。ポートフォリオは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用手法が参考になります。

年金を運用しているので、「長期的な視点から安全かつ効率的な運用」を行うようにしているからです。具体的なポートフォリオは以下のようになります。

出典:GPIF

国内債券35%、国内株式25%外国債券15%、外国株式25%となっています。この基本ポートフォリオを基本に、リスクを増やしたければ株式の割合を増やす、リスクを減らしたければ国内債券の比率を増やすなど、自分のリスク許容度に合わせてポートフォリオを組み立てるようにしましょう。

初心者にはバランス型ファンドがおすすめ

ただ、自分で4種類の投資信託を買うのは大変だと思う人もいるでしょう。そんな方には「バランス型ファンド」の購入がおすすめです。バランス型ファンドなら4資産均等に購入してくれます。例えば、以下のような銘柄があります。

  • ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

国内外の株式・債券に25%ずつ均等に投資する投資信託です。これ1本で国際分散投資が可能になります。

 

出典:ニッセイアセットマネジメント

基準価額や純資産の推移は以下のようになっています。

出典:ニッセイアセットマネジメント

まとめ

今回は分散投資について解説してきました。分散投資を行うとリスクを低減させてリターンを目指すことができます。分散投資には、次の4つの方法があります。

1.商品の分散

2.地域の分散

3.通貨の分散

4.時間の分散

分散投資はリスクを減らすことができますが、その分リターンも減るので、短期投資には向いていません。長期運用でリスクを抑えながら、じっくりとリターンを得ていく方法です。GPIFの基本ポートフォリオを参考に自分で資産配分を決めてもいいですし、バランスファンドでおまかせ運用することもできます。将来の資産形成のために「分散投資」は大事です。今回の記事を参考に、自分なりのポートフォリオを考えてみてください。

記事山下 耕太郎

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