手取り20万円で一人暮らしを検討している人の中には、今の給与で生活できるのか不安に感じる人もいるかもしれません。

一人暮らしを始めると家賃や食費はもちろん、光熱費や日用品など実家暮らしと比較して必要な支出が多くなります。

これまでは貯金やちょっとした贅沢をできていた人が、一人暮らしを始めると貯金もちょっとした贅沢もできなくなる可能性は十分に考えられるのです。

この記事では、手取り20万円で一人暮らしをした場合の生活レベルや注意したい点を解説します。

貯金できるかどうか、貯金を増やすにはどうすべきか、といった内容も解説しているので参考にしてください。

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「手取り」と「額面」の違い

「手取り」と「額面」の違い

給与を表す言葉には「手取り」と「額面」があります。

それぞれの言葉の違いを理解していない場合、間違った情報を基準に判断してしまうだけではなく、相手にも間違った情報を与えてしまうことにもなりかねません。

まずはそれぞれの違いをしっかりと理解しましょう。

「額面」は総支給額のこと

「額面」とは、基本給に残業代や各種手当などを合わせた「支払われる総支給額」を意味します。

一般的に年収や月収は、額面の金額を表していることがほとんどです。

求人票に記載されている給与や面接時に問われる給与は額面を指しています。

これから就職・転職を考えている人はこれらを把握しておきましょう。

「手取り」は実際に受け取れる金額のこと

「手取り」とは、額面から各種税金や社会保険料が差し引かれた後の手元に残る給与です。

労働の対価として毎月自由に使えるお金が手取りになります。

手取り = 額面 – (税金 + 社会保険料)

上記の式で手取り額が決定するため、手取りは額面よりも少なくなります。

就職・転職において、給与は大事な要素になりますが、求人票に記載されている給与が手取りと勘違いすると自由に使えるお金が想定よりも少なくなるため注意しましょう。

「手取り20万円」と「額面20万円」の違い

手取り20万円と額面20万円では、銀行口座に振り込まれる金額が異なります。

額面からは税金と社会保険料が引かれるため、額面20万円の人が銀行口座に振り込まれる金額は20万円を下回ります。

一方で、手取りは銀行口座に振り込まれる金額であるため、手取り20万円の人が銀行口座に振り込まれる金額は20万円です。

手取り20万円と額面20万円では、実際にどれくらいの収入差があるか見ていきましょう。

数字は20万円と一緒ですが、手取りと額面では比べる対象が異なっているため、基準を合わせます。

計算すると額面20万円の人の手取りは約16万円になり、手取り20万円の人よりも毎月自由に使えるお金が約4万円少ないことになります。

手取り20万円の月収と年収

手取り20万円の月収と年収

同じ手取り20万円の人であっても、家族構成や手当て、利用している控除などによって額面の月収や年収は変わります。

ここでは手取り20万円の月収や年収の例を紹介しますが、あくまで一例としてご覧ください。

なお、ここでは以下の条件で数値を算出しています。

  • 20代の会社員
  • ボーナスは年2回・それぞれ給与1ヶ月分
  • 勤務地は東京
  • 扶養家族なし
  • 一般の事業
  • ふるさと納税など、特別な控除の利用はなし

月収は約26万円

特別な控除がない場合、手取り20万円の月収は約26万円です。

額面給与から天引きされる税金や社会保険料の金額をみていきましょう。

税金・社会保険料 金額
所得税 5,560円
住民税 13,018円
健康保険料 12,753円
厚生年金保険料 23,790円
雇用保険料 1,300円
合計 56,421円
毎月の手取り金額 203,579円

40歳以上になると額面給与から介護保険料も差し引かれるようになります。

この例では約2,000円ほど手取り額が少なくなる計算です。

年収は約364万円

年収は、1年分の月収にボーナスが加算された数字です。

ボーナスの支給額や支給回数は会社によって大きく異なるため、一概に手取り20万円であれば年収いくらとは言えません。

加えて、営業職でインセンティブ制度が導入されている会社では月収の変動幅も広く、正確な年収の推測はさらに難しくなります。

仮に手取り20万円でボーナスが年2回(それぞれ給与の1ヶ月分)とした場合、年収の目安は約364万円です。

月収26万円 × 12ヶ月 + 賞与26万円 × 2ヶ月 = 364万円

ボーナスに仕事の成果が強く反映される会社であれば、ボーナスの支給額が増え、年収が高くなる年もあります。

一方で、ボーナスも年収に含まれるため、ボーナスを多く支給された人は毎月の住民税の負担が大きくなります。

額面の月収が変わらずにボーナスの支給額だけが増えると年収は増えますが、毎月の手取りは少なくなるため注意しましょう。

手取り20万円の生活レベル!一人暮らしはきつい?

手取り20万円の生活レベル!一人暮らしはきつい?

手取り20万円あれば、一人暮らしは可能です。実際に一人暮らしをされている方も多いでしょう。

支出をうまくコントロールできる人であれば、多少の贅沢も可能です。。

しかし、求める生活レベルによっては、手取り20万円ではきついと言わざるを得ません。

手取り20万円で一人暮らしを検討する際のポイントを解説します。

家賃は6.6万円程度が相場

一般的に「家賃は手取りの1/3」といわれています。

手取り20万円に当てはめると、約6.6万円です。

あくまで相場価格であるため、必ずしも6.6万円前後の家賃でないといけないというわけではありません。

同じ条件の賃貸住宅であっても、住むエリアによって家賃は大きく変わります。

家賃6.6万円であれば、東京23区に住みたい場合は1Rや1Kが中心でその他の条件も妥協が必要になりますが、神奈川・埼玉・千葉などであれば東京よりもいい条件の賃貸住宅を選べるでしょう。

通勤時間や間取り、セキュリティなど、重視したい項目に合わせて賃貸を決めましょう。

贅沢をする余裕は少ない

手取り20万円の場合、家賃が占める生活費の割合が大きくなっています。

仮に家賃を5万円に抑えたとしても、手取りの1/4です。

ここで家賃を除く一人暮らしの生活費例として、総務省のデータを紹介します。

各項目 費用
食費 約38,000円
光熱・水道 約11,000円
家具・家事用品 約6,000円
被服及び履物 約5,000円
保険医療 約8,000円
交通費 約12,000円
通信費 約7,000円
教養娯楽 約17,000円
その他 約30,000円
合計 約134,000円

家賃が6.6万円であれば、合計20万円で手取りと同額になります。

食費や娯楽費にも平均程度はお金を回せている状態です。

しかし、以下のような贅沢をする余裕はないといえそうです

  • 自由に外食に行く
  • (お金のかかる)遊びに行く回数を増やす
  • 好きなものを好きなタイミングで購入する

出典:政府統計の総合窓口「家計調査/家計収支編 単身世帯 年報」(2021年度データ)

貯金を増やすには工夫が必要

生活費の平均から手取り20万円で一人暮らしをしつつ、貯金を増やしたい場合には工夫が必要です。

相場通りの家賃に住む場合、毎月の給料をほとんど使い切るため、貯金をする余裕はありません。

貯金を増やすためには、生活費の一部を削減する必要があります。

家賃を下げたり、外食や趣味に使うお金を減らしたり、固定費を見直したりして、毎月の支出を減らしましょう。

なにかしらの我慢が必要になる可能性が高く、一人暮らしがきつく感じてしまう原因はここかもしれません。

急な出費の対応は苦しい

手取り20万円の一人暮らしでは、急な出費への対応は苦しいといえます。

急な出費には、以下のような費用が挙げられます。

  • ご祝儀・香典
  • 家具・家電の故障
  • 病気・事故の医療費
  • 終電を逃した際のタクシー代
  • 交通違反時の罰金

普段から生活費にあまり余裕がない状態であるため、急な出費は家計を圧迫します。

基本的に想定外の出費に対しては貯金を切り崩して対応するか、生活費から多少の無理をして捻出するしかありません。

自動車税などの税金や車検、家賃の更新料など、あらかじめわかっている支出であっても準備しておかないと支払いは困難になるでしょう。

経済的な不安がつきまとうと、一人暮らしがきついと感じてしまうかもしれません。

手取り20万円から収入をアップする方法

手取り20万円から収入をアップする方法

手取り20万円の一人暮らしが経済的に厳しいのであれば、収入アップを目指す選択肢もあります。

収入を増やせると、経済的な不安の解消につながるでしょう。

昇給・昇格を目指す

現在の職場で成果を出せると、昇給や昇格が狙えます。

会社にもよりますが、評価項目が明確になっている場合は、今の自分と照らし合わせて不足しているところを補いましょう。

仕事で成果を出して昇給・昇格を目指すほかにも、特定の資格を取得すると資格手当がもらえる会社もあります。

資格取得は仕事の幅が広がり、収入アップのチャンスが広がります。

副業を始める

会社での昇給・昇格が思うようにいかない場合は、副業を始めて収入源を増やしましょう。

収入が増えるだけではなく、副業を通じて新たな知識や経験が身につくとスキルアップにつながり、本業や転職活動に活かせます。

副業にはさまざまな種類があり、中には自分の趣味や好きなこと、今あるスキルを活かせるものもあります。
しっかりと準備して取り組めれば、未経験の分野であっても問題ありません。

注意点として、会社によっては副業を禁止している場合があります。

副業を始める前に、必ず就業規則を確認しましょう。

副業を始めると労働時間が増えるため、体調管理が難しくなる点にも注意してください。

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転職を検討する

転職を成功させると、収入アップやキャリアアップが期待できます。

現在の職場で評価が低い人でも、他の会社では高く評価されることも珍しくありません。

給与水準の高い会社に転職すると、同じ仕事内容で収入が上がることもあります。

とはいえ、転職をすれば必ず収入が上がるわけではありません。

ある程度のスキルやこれまでの実績がないと転職は難しく、何社面接を受けても採用されない可能性が高いです。

転職活動を効率的に進めたい場合は、転職エージェントの活用をおすすめします。

非公開求人の紹介や面接対策、企業との日程調整などを行ってくれる点がメリットです。

無料で利用できる転職エージェントがほとんどのため、転職を検討する際は利用してみましょう。

資産運用を始める

貯金の一部を投資に回し、お金にも働いてもらってお金を増やします。

収入アップまでには多くの時間が必要になるため、他の選択肢と合わせて取り組んでみましょう。

これまで投資の経験の無い方で投資を始めてみようと思っている場合は、積立NISAを利用した資産運用がおすすめです。

積立NISAを利用すると20年間は利益が非課税となり、効率的に資産形成できます。

投資対象は金融庁が厳選した投資信託であるため、どの商品に投資したらいいかわからないという方でも比較的安心して投資することができるでしょう。

100円から投資することができるため、投資のためにまとまった資金を準備する必要もありません。

まずは少額から、資金が変動することに慣れることから始めるのをおすすめします。

まとめ:手取り20万円でも工夫次第で充実した一人暮らしができる

手取り20万円でも工夫次第で充実した一人暮らしができる

家賃相場や生活費の平均から考えると、手取り20万円で贅沢な一人暮らしは難しいといえます。

とはいえ、家賃や生活レベルを少し下げると、毎月数万円を貯金する余裕ができます。

支出をうまくコントロールできる人なら、手取り20万円でも十分一人暮らしは可能です。

毎月貯金しつつ、ちょっとした贅沢もできるでしょう。

住むエリアによっては、支出を減らしたくても減らせない人もいます。

そのような場合は、昇給・昇格を目指したり、副業・転職活動を始めて収入アップを目指しましょう。

将来を見据えて、積立NISAやiDeCoなどでの資産形成も大切です。

節約や資産運用に詳しいFP(ファイナンシャルプランナー)に相談したり、転職は転職エージェントを活用するなど、その時々で専門家を頼りながら資産形成を進めていきましょう。

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各年収帯の家賃相場と生活レベル
年収300万の家賃相場 年収400万の家賃相場
年収500万の家賃相場 年収600万の家賃相場
年収700万の家賃相場 年収800万の家賃相場
年収900万の家賃相場  年収1,000万の家賃相場
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