近年の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻、中国のゼロコロナ政策などにより不安定な状態が続いています。

資源や燃料価格の高騰などから食料品や光熱費などの値上げが相次いでおり、家計における支出の増加を感じている方も多いのではないでしょうか。

経済の先行きが不透明な中、「スタグフレーション」への懸念が世界的に高まっています。

この記事では、スタグフレーションの意味や発生する理由、スタグフレーションへの対策などを解説していきます。

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スタグフレーションとは

スタグフレーションとは

景気の停滞と物価上昇が同時進行する現象

「スタグフレーション」とは、景気が後退、または停滞しているにもかかわらず物価上昇(インフレーション)が進行する現象のことです。

スタグフレーションという言葉は、景気停滞を表す「スタグネーション(Stagnation)」と物価上昇を表す「インフレーション(Inflation)」を組み合わせて作られました。

物価が上がっているにもかかわらず給料が増えず、支出が家計を圧迫してしまうため「悪いインフレ」とも言われます。

インフレーション(インフレ)とは

「インフレーション(インフレ)」は、物価が継続的に上昇している状況のことです。

インフレの状態では、企業がモノの価格を上げても消費者の購買意欲が下がらずにモノがどんどん売れ、企業業績が上がります。

業績が上がるとそこで働く従業員の賃金も上がり、さらに消費が刺激されるというサイクルが生み出されるのです。

モノの価格が上がっていくと、相対的に通貨の価値は下落します。

たとえば、それまで1,000円で購入できたモノが1,100円に値上がりしたとしましょう。

値上がり前よりも多くのお金を支払わなければ同じモノを手に入れられなくなってしまうため、その分お金の価値が下がったといえます。

デフレーション(デフレ)とは

「デフレーション(デフレ)」は、物価が継続的に下落している状況のことです。

デフレの状態では、モノやサービスがなかなか売れないため、企業はモノの価格を下げたり生産量を減少させたりします。

すると企業業績は下がり、従業員の賃金も下がるため、消費者の購買意欲も低下します。

このように消費者が安いものを求めるようになり、世の中の物価がどんどん下がっていく悪循環が「デフレスパイラル」です。

物価が下がると相対的にお金の価値は上がるため、人々はお金を使わずに貯めておくようになります。

デフレを解決するためには、物価上昇を促して市場に流通するお金の量を増やす政策を取られるのが一般的です。

消費者にとっては厳しい経済状況のこと

スタグフレーションになると、不景気で賃金が上がらないにもかかわらず、食料品や日用品などの生活必需品が値上がりし続けます。

例えば、原材料費や輸送費の高騰によって仕入れ値が上がると、当然ながら関連するモノの価格は上昇します。

消費者の需要に基づく値上げではないためモノやサービスは売れず、企業業績は上がりません。

業績が良くないため賃金も上がらず、個人の消費は刺激されない一方、モノの価格は上がり続けるという悪いサイクルが生まれます。

単純なデフレーションでは物価を上昇させる政策によって解決を図りますが、スタグフレーション時のさらなる物価上昇は状況の悪化を招くため、解決が難しい問題といえます。

スタグフレーションになる原因

スタグフレーションになる原因

スタグフレーションになる原因はいくつかありますが、代表的な要因を確認していきましょう。

生活必需品の供給不足

スタグフレーションの原因としては、食料品や原油といった生活必需品の供給不足による製造・仕入れ価格の上昇が挙げられます。

特に日本はガソリンや電気など、生活に欠かせないエネルギー源を輸入に依存しているため、エネルギー資源の供給不足は大きなリスクとなります。

資源の供給不足の要因は人手不足やサプライチェーンの乱れ、戦争や政治的な混乱などさまざまです。

直近では、新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ侵攻により供給不足が引き起こされたと考えられています。

これらの問題はすぐに解決するとは予想し難く、今後も引き続き供給不足による物価上昇が懸念されます。

為替の影響による輸入価格上昇

為替の変動による輸入価格上昇も、スタグフレーションの原因の一つです。

例えば日本の場合、円安ドル高が進むとガソリンや小麦、とうもろこしといった輸入品の価格が上がります。

日本はエネルギーや食糧を輸入に頼っているため、円安が進み原材料費が高騰すると企業はモノの価格を上げざるを得ません。

国内の景気が停滞しているタイミングで円安が進むと、より一層の値上げ圧力が高まり、スタグフレーションが発生しやすくなります。

スタグフレーションの過去の事例

スタグフレーションの過去の事例

【日本】オイルショック

1970年代に起きた「オイルショック」は、第4次中東戦争の影響による石油価格引き上げと供給制限によって引き起こされた経済的混乱のことです。

世界的な石油不足で原油価格は一気に跳ね上がり、国内で使用する石油のほとんどを輸入に頼っていた日本では、ガソリン価格や石油を原料とするプラスチック製品などの価格が急騰しました。

「狂乱物価」と呼ばれるほど激しいインフレを抑えるために、日銀は金利を引き上げて金融引き締めを行った結果、日本経済は戦後初めてのマイナス成長となりました。

【イギリス】EU離脱

イギリスのEU離脱(ブレグジット)も、スタグフレーションのきっかけとなっています。

2016年、イギリスのEU離脱が国民投票によって決定されたことを受け、ポンドの価値は下がり始めました。

ポンド安に伴って輸入品の価格が上昇し、イギリス国民の家計を圧迫する要因となりました。

経済の停滞によってイギリス国内の所得が減少していき、物価上昇と景気停滞が同時に起こる悪循環が起こり始めたのです。

このように、自国通貨安による景気悪化がスタグフレーションへとつながっていく場合もあります。

今後スタグフレーションは起こるのか

今後スタグフレーションは起こるのか

現在、世界的に物価上昇が継続しています。

新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンの混乱に加え、2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻による資源の供給不安がインフレを加速させています。

ロシアやウクライナは石油や天然ガス、小麦、トウモロコシといった資源の供給国であり、情勢次第では今後も物価上昇が懸念されるでしょう。

特に日本では、アメリカの利上げによる急激な円安も物価の上昇に拍車をかけています。

賃金上昇を伴わない物価高が進んでいることで、スタグフレーションが発生する可能性が高まっているのです。

資源価格の高騰や供給制限が長く続いた場合、世界的にスタグフレーションが波及するリスクもあると考えられています。

スタグフレーションに備える対策

スタグフレーションに備える対策

円安や資源高で物価が上昇するにもかかわらず、不景気で給料が変わらないことが家計を圧迫する原因になります。

ここでは、スタグフレーションに対して個人でできる対策を紹介します。

副業で収入を増やす

まずは、本業の他に収入源を持つ方法が挙げられます。

日本では働き方改革の一環として副業・兼業が促進されており、会社員でも副業に挑戦しやすい環境が整いつつあります。

副業を始めることは、収入を増やすだけでなく、自分のキャリア形成や自己実現の追求にもつながるでしょう。

副業ができるかどうかは会社の規定にもよりますが、勤務先の会社が副業を認めている場合、新たな仕事に挑戦するのも一つの手です。

不動産投資

マンションやオフィスビルなどに投資する不動産投資は、現物投資としてデフレにもインフレにも強いと言われています。

価値が変動するお金と違い、不動産は建物・土地そのものに価値があります。

家やオフィスは生活・企業活動に必要なものであるため、景気が悪くても需要が下がりにくいのです。

インフレによってお金の価値が下がっていく状況では、現金を保有しておくよりも不動産の形で保有するという対策も考えられます。

修繕・管理のコストや災害が発生するリスクなども加味しながら、投資すべきかどうかをしっかりと考える必要があるでしょう。

REIT

不動産投資方法として、「REIT(不動産投資信託)」に投資するという手法もあります。

REITは、投資家から集めた資金でマンションやオフィスビルなどの不動産に投資を行い、そこから得られる収益を投資家に分配する仕組みです。

日本の株式市場に上場しているREITは「J-REIT」と呼ばれ、一般的な株式やETFと同じように売買できます。

REITであれば個人でも最低数万円程度から投資が可能で、複数の物件への分散投資ができるため、現物不動産への投資はハードルが高いという方にもおすすめです。

コモディティ

投資の世界では、原油などのエネルギー資源や小麦・トウモロコシなどの穀物、金やプラチナなどの貴金属などを「コモディティ(商品)」と呼びます。

不動産と同じように実物資産であり、スタグフレーションになると価格が上がりやすいという特徴を持ちます。

株や債券などの金融資産と異なる値動きをする傾向があるため、オルタナティブ(代替的)資産の一つとして分散投資効果も期待できるでしょう。

特に金(ゴールド)は、「有事の金」とも呼ばれ、経済の先行きが悪化したり戦争などのリスクが高まったりする場面で買われる(価格が上がる)傾向があります。

コモディティ投資はインフレヘッジとして有効ですが、天候や為替、国際情勢などさまざまな要素の影響を受けて価格が変動するため、値動きの予測が難しい点には注意しましょう。

株式投資

スタグフレーションになると、投資家心理が冷え込むことで株価は基本的に下落します。

しかし、株価が下がるということは株式を割安で購入しやすくなるということでもあります。

高配当銘柄や優良銘柄に投資したいと考えている投資家にとっては、割安で株式を仕込むチャンスとも言えるでしょう。

企業の本来のポテンシャルよりも株価が割安な水準まで売り込まれている株式に投資できれば、その後景気が回復した時に値上がりが期待できます。

まとめ:スタグフレーションとは景気が停滞して物価が上昇する状態

スタグフレーションとは景気が停滞して物価が上昇する状態

スタグフレーションは、景気停滞時に物価が上昇する現象のことです。

スタグフレーションが起きた場合に何も対策をしていなければ、物価の上昇がそのまま家計の重石となってしまいます。

まずはどのような理由・原因でスタグフレーションが発生するのかを理解し、自分に合った方法で対策を考えてみましょう。

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