年収1,200万円の手取りや生活レベルは?おすすめの税金対策も紹介
「年収1,200万円」は一般的に高年収とされていますが、重要なのは実際に手元に残る「手取り収入」です。
すでに年収1,200万円に到達している方や、これから1,200万円を目指す方は、手取り額を把握した上で適切な生活水準をイメージしましょう。
この記事では、年収1,200万円の手取り額や生活水準、家賃・ローンの相場について解説します。
また、年収1,200万円の方におすすめの節税方法も紹介しますので、参考にしてください。
この記事の目次
年収1,200万の手取りは850万円前後
年収1,200万円の手取り収入はおよそ850万円前後となります。
年収と税金・社会保険料の内訳は以下の表の通りです。
内訳 | 年収 |
年収 | 12,000,000円 |
所得税 | 1,266,100円 |
住民税 | 831,000円 |
社会保険料 | 1,300,524円 |
雇用保険料 | 72,000円 |
手取り | 8,524,376円 |
しかし実際の手取り額は配偶者の有無や扶養家族の人数、住宅ローンの有無など、それぞれの状況によって異なるため注意が必要です。
ここでは、給与から差し引かれる税金や社会保険料の計算方法について紹介します。
所得税・住民税・社会保険料の合計額は350万円前後
年収1,200万円の場合、給与から差し引かれる所得税・住民税・社会保険料の合計額はおよそ350万円前後です。
それぞれの計算方法を紹介していきます。
所得税は130万円前後
所得税は、給与収入から一定の所得控除を差し引いた「課税所得」に税率をかけて算出されます。
所得控除は家族構成や保険の加入状況、住宅ローンの有無などによって異なりますが、ここでは以下の控除が適用されると仮定して計算を行います。
- 給与所得控除
- 基礎控除
- 社会保険料控除
年収1,200万円の場合、給与所得控除は195万円、基礎控除は48万円です。
社会保険料は後ほど計算しますが、約140万円となるため、課税所得は「1,200万円 – 195万円 – 48万円 – 約140万円 = 約817万円」となります。
国税庁の所得税の速算表によれば、課税所得が約817万円の場合、税率23%・控除額63万6,000円です。
所得税は以下のように計算され、ざっくり約130万円が所得税として引かれる計算です。
- 827万円 × 23% – 63万6,000円 = 1,266,100円
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住民税は80万円前後
住民税は、所得にかかわらず一定の負担が設けられる「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」があります。
均等割の税額は4,000円(道府県民税が1,000円、市町村民税が3,000円)です。
一方、所得割は課税所得に対して10%の税率をかけて算出されます。
例えば、課税所得が817万円の場合、所得割の額は「817万円 × 10% = 81.7万円」となり、均等割の4,00
円と合計しておよそ82.1万円となります(2024年度からは森林環境税として1,000円が追加されます)。
出典:総務省「個人住民税」
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社会保険料140万円前後
社会保険料の多くは健康保険と厚生年金、雇用保険で構成されます。
健康保険料と厚生年金保険料は、いずれも「標準報酬月額」に一定の保険料率をかけて計算する仕組みです。
通常、標準報酬月額は4月から6月までの給与をもとに算出されますが、ここでは年収1,200万円を12ヶ月で割った100万円を報酬月額として計算します。
東京都の令和6年度保険料額表によると、報酬月額が100万円の場合の健康保険料(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)は48,902円、厚生年金保険料は59,475円が引かれることとなります。
また、雇用保険の労働者負担は1,000分の6(0.6%)となっており、年収1,200万円の場合は年間で72,000円(月6,000円)です。
毎月「48,902円 + 59,475円 + 6,000円 = 114,377円」の社会保険料が発生し、年間では約140万円が引かれる計算です。
参考:全国健康保険協会「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
年収1,200万円の平均手取り月収は約60万円前後
年収1,200万円の手取り月収は、ボーナスの有無やその金額によって異なります。
ボーナスの有無や金額に応じた手取り月収の目安は以下の通りです。
- ボーナス無しの場合:手取り月収約70万円
- ボーナス年2ヶ月分(夏冬1ヶ月)の場合:手取り月収約60万円
- ボーナス年4ヶ月分(夏冬2ヶ月)の場合:手取り月収約55万円
ボーナスの支給額が大きくなるほど、手取り月収は少なくなりますが、ボーナスが支給される場合でも毎月50万円以上の手取り収入が得られることになります。
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年収1,200万円のボーナスの平均額は約120万円程度
支給額の算出基準となる月数にもよりますが、ボーナスが年2ヶ月分(夏冬それぞれ1ヶ月分)支給される場合は年間で約120万円の支給となります。
この場合、手取り月収は約60万円です。
また、ボーナスが年4ヶ月分(夏冬それぞれ2ヶ月分)支給される場合、年間で約220万が支給される計算です。
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年収1,200万円の平均貯金額は約2,300万円
金融広報中央委員会が実施した「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果」では、年間収入別の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均値・中央値が公表されています。
年間収入が「1,000〜1,200万円未満」に分類される世帯の金融資産保有額の平均値は2,324万円、中央値は1,200万円となっています。
一方、全体の平均値が1,184万円、中央値が230万円です。
これを考慮すると、年収1,200万円前後の人の平均的な金融資産保有額はかなりの高水準です。
出典:金融広報中央委員会「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果」
年収1,200万円はどれくらいすごい?
次に、年収1,200万円を日本の平均年収と比較してみましょう。
人口全体における割合や、年収1,200万円を目指せる職種を参考にすることで、年収1,200万円の位置付けや達成の可能性を具体的にイメージできるようになります。
年収1,200万円は日本の平均年収と比較するとどれくらい?
国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は458万円です。
男性の平均は563万円、女性の平均は314万円となっており、年収1,200万円が平均年収と比べて高い水準にあることが分かります。
同調査で発表された年齢階層別の平均給与は以下の表の通りです。
年齢階層別 | 平均給与 |
19歳以下 | 124万円 |
20〜24歳 | 273万円 |
25〜29歳 | 389万円 |
30〜34歳 | 425万円 |
35〜39歳 | 462万円 |
40〜44歳 | 491万円 |
45〜49歳 | 521万円 |
50〜54歳 | 537万円 |
55〜59歳 | 546万円 |
60〜64歳 | 441万円 |
65〜69歳 | 342万円 |
70歳以上 | 298万円 |
もっとも収入が高くなる55〜59歳の年齢階層であっても平均給与が546万円であることを考慮すると、年収1,200万円は高い水準であるといえるでしょう。
年収1,200万円の割合は人口の約4%
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、年収1,000万円〜1,500万円の人は全体の4.0%を占めています。さらに、年収1,000万円以上の人の割合を合計すると5.4%です。
この割合から見ると、年収1,200万円を得ている人は全体の中でも非常に少ないといえるでしょう。
年収1,200万円が期待できる職種
一般的に年収1,200万円を期待できる職種には以下のようなものあります。
- 総合商社
- 大手金融機関
- マスコミ
- 大手広告代理店
- 医師
- 弁護士
たとえば、総合商社や大手金融機関の場合、キャリアを積むことで年収1,200万円に到達する可能性があります。
また、テレビ局や新聞社などのマスコミ業界や、大手広告代理店なども年収1,200万円が期待できる職種です。
医師や弁護士といった職種も年収1,200万円が視野に入るでしょう。
ただし、これらの職種だからといって必ずしも年収1,200万円に到達するわけではありません。
勤続年数や役職、業績などにより収入が変動する可能性があるため注意が必要です。
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【シミュレーション】年収1,200万円の生活レベル
次に、年収1,200万円の生活レベルについて解説します。
独身の一人暮らしの場合と、2人以上の世帯の場合に分けてシミュレーションしていますので、参考にしてください。
独身・一人暮らしの場合
独身の一人暮らしの場合、年収1,200万円あれば十分に余裕がある生活を送れます。
ボーナスを考慮しない場合は毎月70万円ほどの手取り収入を得られるため、ある程度の贅沢を楽しむことができるでしょう。
例えば、以下のような生活を送った場合の毎月の出費は27万円となります。
出費項目 | 金額 |
家賃 | 150,000円 |
水道光熱費 | 20,000円 |
通信費 | 20,000円 |
食費 | 50,000円 |
雑費 | 30,000円 |
上記の費用はある程度余裕を持たせた計算ですが、それでも毎月40万円以上が残ることになります。
交際費や娯楽費にお金をかけたり、将来に向けた貯蓄・投資を積極的に行ったりしても無理なく生活できる水準といえるでしょう。
二人以上の世帯の場合
二人以上の世帯であっても、世帯年収1,200万円であれば比較的余裕を持った生活を送れる可能性が高いです。
もちろん住む場所や住まいの広さ、子どもの人数によって生活水準は異なりますが、一定の水準は確保できるでしょう。
例えば、子どもがいる世帯で以下のような生活を送った場合の毎月の生活費は47万円となります。
出費項目 | 金額 |
家賃 | 200,000円 |
水道光熱費 | 30,000円 |
通信費 | 40,000円 |
食費 | 100,000円 |
雑費 | 50,000円 |
教育費 | 50,000円 |
手取りは月70万円程度であれば、20万円以上は残る計算となります。
娯楽や趣味、資産運用に回すことはもちろん、子どもの教育費を充実させたり、より条件が良い物件に引っ越すことも検討できるでしょう。
年収1,200万円の家賃や組めるローンの相場について
住む場所や住居の広さを考える上では、家賃やローンの支払いと収入とのバランスを考えることが重要です。
ここでは、年収1,200万円の人に適した家賃やローンの相場について解説します。
年収1,200万円の家賃相場は20万円程度
一般的に「家賃は手取りの25%〜30%に設定すると良い」と言われています。
年収1,200万円で手取りが月70万円である場合、家賃の相場は17〜21万円前後となります。
ただし、地方で一人暮らしをしていて居環境にこだわりがない場合、家賃を20万円前後に設定する必要はありません。
一方都内で子どもが複数いる世帯の場合、もう少し高めの家賃設定を検討することもあるでしょう。
家賃20万円前後を一つの基準としながら、家族構成や生活エリア、居住環境へのこだわりをもとに適切な家賃を選びましょう。
家賃の目安は手取りの何割?家賃別の生活費や東京の一人暮らし相場も紹介
年収1,200万円の住宅ローンは6,000万円から8,400万円程度
一般的に、住宅ローンの借入額の目安は「年収の5倍から7倍」とされています。年収1,200万円で計算する場合、ローンの目安は6,000万円から8,400万円程度です。
ただし、ローンの借入額は返済期間や適用される金利、個人の属性によって異なるため、慎重に検討する必要があります。
また、過度な金額のローンを組んでしまうと生活を圧迫するリスクがあるため、返済シミュレーションなどを行いながら無理のない範囲でローンを組むことが重要です。
年収1,200万円のマイカーローンは300万円から420万円程度
自動車ローンの借入可能額は、ローンの種類や会社によって異なりますが、一般的には年収の25から35%以下が望ましいとされています。
したがって、年収1,200万円の場合は300万円から420万円の範囲でローンを組むと無理なく利用できるでしょう。
ただし、マイカーローンは他に住宅ローンなどを組んでいる場合に審査が厳しくなるケースがあります。
年収の3分の1までしか借りられない場合もあるため、注意が必要です。
年収1,200万円の人におすすめの税金対策
年収1,200万円は高年収といえる水準であるものの、年収が高くなるほど税金の負担も大きくなっていき、実質的な手取り額は思ったほど多くありません。
そのため、税金の負担を軽減する「税金対策」が重要となります。
ここでは、年収1,200万円の方におすすめの税金対策方法について解説します。
1. NISA
NISAとは、年間一定額までの投資で得た利益が非課税となる制度のことです。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用することで、非課税で効率的な資産運用が目指せます。
2024年から始まった新NISA制度では、投資信託の積立を行う「つみたて投資枠」と株式や投資信託を自由に取引できる「成長投資枠」の2種類の非課税投資枠が設けられています。
この2つの枠を合計して年間360万円・生涯で1,800万円までの非課税投資が可能です。
子どもの教育資金や老後の生活費の準備などをNISAで行い、資産運用にかかる税金の負担を軽減することをおすすめします。
NISA積立は「毎日」と「毎月」どっちがおすすめ?検証結果を解説
2. 個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自分で老後の年金を準備する私的年金制度の一つです。
加入者が自身で掛金を拠出し、その資金を運用して得られた成果を老後に受け取る仕組みとなっています。
iDeCoの最大のメリットは、以下の税制優遇を受けられる点にあります。
- 掛金が全額所得控除になる
- 運用益が非課税で再投資される
- 受け取り時に控除が適用される
iDeCoに拠出した掛金は全額が所得控除の対象となるため、課税所得が減り、所得税や住民税を軽減して手取り額を増やすことが可能です。
また、運用益が非課税で再投資されることや、受け取り時に控除が適用されることにより、税制優遇を受けながら老後資金を準備することができます。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出せないため、60歳より前に必要となる資金の準備には向いていません。
老後の生活費を準備したい方は、iDeCoを活用して税負担を軽減しながら資産形成を行いましょう。
iDeCo(イデコ)は税金対策になる!仕組みや職業・収入別の節税効果について解説
3. ふるさと納税
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄付を行うことで税金の控除を受けられる制度です。
控除上限額の範囲内で、2,000円を超える部分が税金から控除されます。
さらに、寄付した自治体からは返礼品として地域の特産品などを受け取ることができ、実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取れるお得な制度です。
年収1,200万円の場合、控除上限額が高く設定されるため、ふるさと納税による恩恵も大きくなります。
食品や日用品などを返礼品で受け取れば、税金負担を減らしながら食費や生活費の節約も期待できます。
生まれ育った故郷や、欲しい返礼品を提供している自治体に寄付を行い、税負担を軽減しながらお得な返礼品を受け取りましょう。
年収1,000万円のふるさと納税限度額は?メリットや返礼品の選び方も紹介
まとめ:年収1,200万円でも将来を見据えて節税対策や運用をしよう
この記事では、年収1,200万円の方の手取り額や生活水準について紹介しました。
年収1,200万円は一般的に高年収とされますが、税金や社会保険料で引かれる金額が多いことが悩みになります。
十分な生活水準を維持できる一方で、税負担を軽減する取り組みが重要となります。
この記事では、NISAやiDeCo、ふるさと納税といった節税方法を紹介しましたが、ほかにも税負担を軽減できる方法は存在します。
税金や資産運用に対する理解を深め、手取り収入や資産を賢く増やしていくことが大切です。
弊社が実施する税金対策セミナーを活用し、手取りを増やす取り組みを実践していきましょう。