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お金 2018.5.1

【FP監修】積み立てNISAのデメリットと見落としがちな注意点

 

2018年1月からスタートした「積み立てNISA」は、長期の資産形成を目的としたさまざまなメリットのある制度です。しかしその一方で、デメリットや運用していくうえでの注意点も存在します。まずは積み立てNISAのしくみやその特性をよく理解し、そのうえで自分の投資スタイルに適しているか、判断してみましょう。

 

そもそも積み立てNISAとは

 

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をすると、これらを売却して得た利益や分配金に対して約20%の税金がかかります。そこで、投資による資産運用を助けることを目的として設けられた制度のひとつが、今回紹介する「積み立てNISA」です。

 

少額投資非課税制度の1つ

積み立てNISAは、少額から投資を行う方に向けて設けられた「少額投資非課税制度」のひとつです。少額投資非課税制度には他に、2014年1月からスタートしたいわゆる通常の「NISA」と、2016年1月からスタートした未成年者向けの制度「ジュニアNISA」があります。なお、いずれも金融庁の掲げる「貯蓄から資産形成へ」の実現に向けた取り組みです。

 

通常のNISAと比較してみると

通常の「NISA」と、「積み立てNISA」。いずれも少額からの投資を行う方に向けた制度ですが、積み立てNISAは先行のNISAと比較すると、いったいどのような違い・特徴があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

 

年間投資限度額が小さい

NISAの非課税投資枠は年間120万円までですが、積み立てNISAの非課税投資枠は年間40万円までと縮小されています。つまり、1年で新規に投資できる金額が通常のNISAと比較すると、3分の1というわけですね。

 

非課税期間が長い

一方、非課税期間はNISAが最長5年間であるのに対し、積み立てNISAはNISAの4倍にあたる最長20年間です。積み立てNISAは1年で新規に投資できる金額こそ少ないものの、長期的にコツコツと資産形成をしたい方に向いている制度といえます。

 

 

メリット

 

積み立てNISAとは少額からの長期積み立て、分散投資を支援するための制度です。そのため通常のNISAと比較して、より長期的に資産形成をすることに適したしくみとなっています

 

運用益が非課税になる

積み立てNISAの口座では、年間40万円までの非課税投資枠が設定されています。年間40万円を上限として新規に投資をすることができ、購入した金融商品を売却して得た譲渡所得や、配当所得が非課税となります。また、それらは購入した年から数えて20年間、課税されません。なお、非課税で保有できる投資総額は最大800万円となります。

 

いつでも引き出し可能

積み立てNISAでは基本的に投資信託を積み立てで購入しますが、いつでも投資信託を解約し、現金にかえることができるのが大きなポイントです。積み立ててきたすべての投資信託を解約せず、一部だけ解約することも選択できます。またそれ以外にも、ライフスタイルの変更や、大きなライフイベントが入ったなど、毎月の積み立て額を変更したいケースにも柔軟に対応が可能です。

 

特にジュニアNISAでは口座開設者である子や孫が、その年の3月31日時点で18歳である年の1月1日以前に引き出そうとすると、原則として運用益に課税されてしまいますし、個人型確定拠出年金も中途解約や引き出しが制限されていることから、それらに比較して積み立てNISAは柔軟性に富み、始めることへのハードルが低く設定されていることが大きなメリットです。

 

 

デメリット

 

積み立てNISAは前述のとおり、非課税のメリットを活かしながら長期投資をすることに適した制度といえますが、メリットがあるものには当然ながらデメリットも存在します。

 

元本保証ではない

積み立てNISAは、金融庁の厳しいガイドラインに合致した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)から、商品を選択することになります。長期的な資産形成を目的としていることから、極めて元本割れのリスクが少ない投資信託に厳選されているとはいえ、投資信託やETFは原則として元本が変動する商品です。運用中に元本割れを起こすリスクがあるということは、念頭に置いておきましょう。

 

損失が発生しても損益通算できない

複数の証券口座を開設して投資をする場合、それぞれの口座で発生した利益と損失を合算して税負担を軽減させることを「損益通算」といいますが、NISA口座にあたってはそれが適用できません。

 

つまり、NISA口座で保有している投資信託が値下がりしたあとに売却するなどして損失が出た場合でも、他の口座(一般口座や特定口座)で保有している金融商品の分配金や、売却によって得た利益と相殺することはできないことになります。積み立てNISAを含むいくつかの証券口座で並行して資産運用を行いたい方にとっては、デメリットとなり得ます。

 

損失が発生しても繰越控除できない

通常、損益通算をした後損失が残った場合、向こう3年間にわたって損失額を繰り越し、翌年以降の利益と相殺ができます。この制度を「繰越控除」といいますが、前述の損益通算が積み立てNISAでは不可能であることと同様、繰越控除も適用されません。

 

口座間の資産の移動はできない

積み立てNISA口座以外(一般口座や特定口座)で保有している金融商品を積み立てNISA口座へ移動することはできません。また既に積み立てNISA口座で保有している金融商品を他の金融機関の積み立てNISA口座へ移動することもできません。

 

積み立てNISA口座の金融機関を変更した場合、変更前の積み立てNISA口座で新たな買い付けはできませんが、投資信託を売却せずにそのまま持っていることはできます。その場合、最長20年間は非課税の恩恵を得ながら運用することが可能です。新たな買い付けは、変更後の積み立てNISA口座で行います。

 

積み立て分を別の商品に切り替えることはできない

積み立てている投資信託を別の投資信託へ変更することはできません。また、積み立てている投資信託を解約して、解約したお金で別の投資信託を非課税投資枠で購入するといった預け替え(スイッチング)をする場合、年間の非課税投資枠を消費することになる点には注意が必要です。

 

商品を変更する場合は、積み立てている投資信託を解約し、解約したお金を使って課税口座(一般口座や特定口座)で購入するか、非課税投資枠が余っている場合に限っては、積み立てNISA口座内で新規買い付けをする選択ができます。

 

通常NISAと併用不可

2018年の積み立てNISAスタート時点では、NISA口座内で通常のNISAと積み立てNISAどちらか一方を選択する必要があります。2018年から新規にNISA口座を開設する方はいずれかのみ開設が可能となり、2018年以前からNISA口座を保有している方は、積み立てNISAへ変更したい場合にその旨を申し出る必要があります。

 

なお、年単位で通常のNISAと積み立てNISAを変更することは可能です。原則として、変更しようとする年の前年10月から12月の間に、金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。

 

 

注意点

 

これまで積み立てNISAのデメリットについて解説してきました。さらに以下では注意点について解説していきます。意外に知らない、誤解されやすい点がいくつも存在しますので、具体的に見ていきましょう。

 

個別株は投資対象外で基本的に選択肢が少ない

積み立てNISAは長期的な資産形成を目的としていることから、長期の積み立て、分散投資に適した一定の投資信託にのみ投資対象が限定されています。株式は対象外であるため、通常のNISAと比較すると投資対象のバリエーションは少ないです。商品を選択する自由度は低い反面、投資の初心者にとっては、対象が限定されることで選びやすくなるといった側面もあります。

 

使いきれなかった非課税枠は持越せない

積み立てNISAの非課税投資枠は年間40万円ですが、その年で新規に投資した金額が40万円に満たなかった場合、余った非課税投資枠を翌年へ繰り越すことはできません。つまり、仮に年間25万円の積み立てを行った場合には、残り15万円を翌年の非課税投資枠へ上乗せすることはできないということです。

 

非課税枠は使い捨てで再利用できない

また、非課税投資枠の40万円はあくまで新規買い付け額であるということに注意が必要です。購入した投資信託を中途解約したからといって、その年の非課税投資枠が復活することはありません。先に解説したとおり、投資信託を変更するためにスイッチングをおこなう場合でも、その年の非課税投資枠を消費することになります。非課税投資枠が足りない場合は、スイッチングができないということです。

 

分配金の再投資は非課税枠を使うことになる

前述のスイッチングと同様、分配金で再投資を行う場合にも、新規買い付けと同じく非課税投資枠を消費することになります。非課税投資枠を使い切っている場合は分配金の再投資ができないため、積み立てNISA口座の積み立て設定の際に分配金を再投資する選択をしている場合は、分配金の金額も考慮しつつ積み立て金額を決める必要があります。年の途中で分配金が再投資され、年間の非課税投資枠の40万円を超えてしまうと、12月分が買いつけできない可能性もあるため気をつけましょう。

 

株式数比例配分方式を選択しないと分配金が非課税にならない

積み立てNISA口座で購入した投資信託の分配金を非課税にするには、分配金の取扱いで「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。株式数比例配分方式とは、保有している金融商品の分配金を権利確定時の保有数に応じて、各証券口座で受領する方法です。この方式以外を選択した場合、分配金に課税されてしまうためNISA口座で運用する場合は必須といえます。

 

なお、一度「株式数比例配分方式」を選択すると変更手続きをおこなった証券会社だけでなく、自身が保有するすべての証券口座へ設定が適用されます。ちなみに売却益に関しては、受取期間を問わず非課税です。

 

積み立てNISA終了時に値下がりしている場合は要注意

積み立てNISAの非課税期間終了時に、購入した投資信託が取得価格より値下がりしていた場合、課税口座においてはその価格が取得価格となるため、その後に値上がりしたことで得た利益に対しては課税されます。

 

積み立てNISAでは、値上がり益や分配金などの利益に対して非課税となる大きなメリットがある反面、損失が出てしまうと損益通算ができず税金を多く支払うリスクがある点には注意が必要です。

 

複数の金融機関に申し込むのはNG?

積み立てNISA口座は、1年につき1つの金融機関でのみ利用できます。もし、同年に複数の金融機関へ同時に積み立てNISA口座の開設の申し込みを行った場合、希望する金融機関以外へ取り消しの申請をする必要があります。それでも取り消しが間に合わず、最終的に希望とは異なる金融機関へ積み立てNISA口座が開設される可能性もあります。

 

これは希望する積み立てNISA口座の開設が大幅に遅れる原因にもなるため、予めよく検討したうえで、1つの金融機関に絞り口座開設の申し込みを行うようにしましょう。

 

 

まとめ

積み立てNISAは、2018年1月から始まったばかりの新しい制度です。通常のNISAも2014年1月に始まってから運用されていくに従い、年間の非課税投資枠が100万円から120万円に拡大されたり、金融機関の乗り換えが可能になったりなど、投資者に寄り添った

 

ルールの改善がなされてきました。積み立てNISAもこれからの制度です。現状では紹介したとおりいくつかのデメリットや注意点が存在しますが、今後部分的に改善されていく可能性があります。

 

金融庁の掲げる「貯蓄から資産形成へ」を実現するためには、積み立てNISAがその一助になるかもしれません。よく検討したうえで、ぜひ自分に最適な投資スタイルを見つけてみてください。

 

監修者:大間 武(ファイナンシャルプランナー)

 

 

 

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