資産運用(投資)しない人の割合や理由は?向いていない人やリスクを減らす方法
「老後2,000万円問題」をきっかけに資産運用(投資)を始める人が増えた一方で、資産運用をしない人も一定数います。
「投資はリスクがあり危険」「投資はギャンブル」という意見もあり、資産運用をしないと考えている人は少なくありません。
しかし、資産運用をしないことによるリスクも存在するため、いずれの場合でも金融知識を身に付けておくことが重要です。
この記事では、資産運用をしない人の割合や理由、資産運用をしないことによるリスクについて解説します。
資産運用のリスクを軽減する方法や、初心者におすすめの運用方法も紹介しますので参考にしてください。
この記事の目次
資産運用(投資)しない人の割合
「保険マンモス株式会社」が男性250人、女性250人に行った調査によると、男性の29%、女性の56%が「投資型の資産運用をした経験がない」と回答しました。
男性に比べると、女性の方が資産運用をしない人の割合が多いことが分かります。
また、「投資経験がある」と回答した男女に「初めて投資を始めた年齢」を質問したところ、30代までに始めた割合が男性は76%、女性は73%でした。
特に男性は20代で始めた人の割合37%で、女性の29%に対して8%高い結果となっています。
資産運用の経験がある人の多くが若いうちから始めている傾向があり、女性よりも男性の方が投資を始めている人が多いということが結果から分かりました。
出典:株式会社 PR TIMES 「資産運用に関するアンケート!投資経験者の割合は女性より男性の方が高い」
資産運用をしない理由
先程と同じ調査の中にある「投資に踏み出せない理由」という質問に着目してみると、投資をしていない男性の回答は以下の結果になりました。
ランキング | 資産運用に踏み出せない理由 |
1位 | 知識がなくて不安 |
2位 | 失敗した時のリスクが心配 |
3位 | 資金が少ないため |
4位 | 投資に対して不勉強なため |
以下は投資をしていない女性の「投資に踏み出せない理由」に対する回答結果です。
ランキング | 資産運用に踏み出せない理由 |
1位 | 失敗した時のリスクが心配 |
2位 | 資金が少ないため |
3位 | 投資に対して不勉強なため |
4位 | 知識がなくて不安 |
男女ともに「投資に失敗した時のリスク」に対する不安や、「投資に対する知識がない」ことで始められない傾向にあることが分かります。
また、上記のほかに「忙しくて時間を取れない」「面倒くさい」という回答も見られ、投資に使う時間がないことも資産運用をしない理由として挙げられています。
資産運用をしない方がいい人・向いていない人
資産運用にも向き不向きがあり、人それぞれの資産状況や考え方次第では向いていない場合もあります。
「どういう心構えで資産運用に取り組むべきか」を知るためにも、資産運用に向いていない人について把握しておくことが大切です。
ここでは、資産運用をしない方がいい人・向いていない人の特徴について解説します。
すぐに利益を出したい人
「すぐに大きな利益を出したい」と考える人は、資産運用には向いていません。
短期間で大きな利益を狙おうとするとリスクが高い方法に手を出しやすくなり、ギャンブル的(投機的)な要素が強くなってしまうためです。
資産運用は一攫千金を狙うものではなく、リスクを抑えながら長期間で着実に資産を増やしていくものです。
資産が増えていくのを気長に待てない人は、資産運用に向いていないと言えるでしょう。
投資と投機の違いは?ギャンブルやFX、貯蓄との違いも簡単に解説
明確な目的がない人
資産運用をする明確な目的がない人も、資産運用には向いていないかもしれません。
目的が定まっていないと運用方針がブレてしまい、さまざまな手法に手を出して結果的に思うような利益が出ないというパターンに陥りやすいためです。
資産運用を始める際には、今後のライフイベントを踏まえて目的を定めることが重要です。
「子どもの教育資金を用意したい」「老後の資産を準備したい」など目的が明確になると、いつまでにどれくらい資産を準備するべきか定まります。
目標資金と必要期間が分かれば、そのために必要な利回りや取れるリスク、運用方法が明確になっていくでしょう。
目的に向けた適切な運用方法を選ぶためにも、「何のために資産運用をするのか」を明確にしておくことが大切です。
ライフプラン表の作り方のステップは?作成後にやるべきことも併せて解説!
余剰資金がない人
投資は余剰資金ですること基本であり、生活に必要なお金と運用資金は分けておきましょう。
資産運用に失敗したときに、生活が成り立たなくなるようなリスクを避けることが大切です。
投資を始める場合、万が一のことがあっても3ヶ月〜1年ほどは生活できるだけの貯金を準備することを優先しましょう。
もし借金がある場合も、まずは借金を完済することを優先する方が大切です。
身の丈に合った資産運用を始めるためにも、生活資金をしっかりと準備した上で資産運用を始めましょう。
【2024】生活防衛資金の目安はいくら?一人暮らしに必要な金額や貯金との違い
人に勧められてなんとなく始める人
投資は自己責任であり、失敗して損をしても誰も補填をしてくれません。
そのため「人が儲かった噂を聞いた」「人におすすめされた」などの理由で資産運用を始めるのは危険です。
投資にはリスクがついて回るため、必ず自分でリスクや投資する商品を調べて理解することが重要と言われています。
分からないものには手を出さず、リスクについて正しく理解しましょう。
冷静な判断ができず感情に左右される人
投資商品の価格は、日々様々な要因によって変動します。
日々の値動きが気になって仕事やプライベートに影響が出てしまうタイプの人は、資産運用に向いていません。
相場の動きで一喜一憂すると正しい投資判断ができなくなる恐れがあるため、感情に左右されやすい人は注意しましょう。
例えば、株式市場では過去に何度も暴落を経験していますが、数年経つと株価は暴落前の水準まで戻り、さらに上昇していくケースがほとんどです。
今後も同じようになるとは限りませんが、急な暴落で慌てて売却した人は損するだけでなく、損を出した恐怖からその後投資を続けられなくなってしまう可能性も高くなります。
まずは少額投資から始め、リスクや相場の値動きに慣れながら短期的な値動きを気にしない感覚を身に付けていきましょう。
株初心者はいくらから投資を始めるのがおすすめ?少額投資について解説
資産運用をしないリスク
資産運用には資産の価値が変動したり、為替の動きで保有資産の価格が増減したりするリスクが必ずあります。
しかし、資産運用をしないことも一つのリスクであり、「投資をしないからリスクはない」と安心することはできません。
ここでは、資産運用をしないリスクについて解説します。
インフレに対応できない可能性がある
日本銀行は「インフレ率年2%」を目標としています。
「インフレ」とは物価が継続的に上昇することを指すため、日本銀行は年間で2%ほど物価が上昇する状態を目指しているということです。
インフレによって物価が上昇すると、相対的にお金の価値が下がることになります。
例えば年間で2%の物価上昇の場合、100円で買えていたものが1年後には102円になってしまい、100円では買えません。
物価が2%上昇していくのであれば、年利2%以上で運用しないと資産の価値は相対的に減ってしまいます。
インフレが続いた場合に資産の価値が減り続けてしまう点が資産運用をしないことによるリスクのひとつです。
将来給料や年金が減る可能性がある
現在貰っている給料や将来もらえる年金は、今後減る可能性があります。
給料やボーナスだけではまとまったお金が必要なライフイベントや老後に備えられないリスクも留意しておきましょう。
例えば老後の生活資金については、公的年金以外に2,000万円が必要と言われる「老後2,000万円問題」があります。
今後さらに年金が減った場合には、自分で準備するべき資産が増える可能性も考えられます。
給料や年金だけに頼らず、自分で資産を増やして老後の生活資金を準備していくことも重要です。
【2024】年金問題の現状や解決策は?老後2,000万円問題に備えよう
資産運用のリスクを減らす方法
資産運用にはリスクがつきものですが、リスクを軽減する方法はあります。
ここでは、資産運用のリスクを減らす方法を解説します。
長期・積立・分散投資を意識する
資産運用をする上で、長期・積立・分散投資を心掛けることが大切です。
投資の基本的な三大原則であり、3つを守ることでリスクを軽減できます。
長期投資 | 時間を分散することで、短期的な暴落による損失リスクを抑えられる |
積立投資 | 購入するタイミングを分散することで、高い価格で購入してしまう「高値掴み」のリスクを軽減する |
分散投資 | 異なる値動きをする資産に分散して投資することで、資産の価格が変動するリスクを軽減する |
これから資産運用を始める方は「長期」「積立」「分散」の3つを意識して投資をしましょう。
分散投資とは?種類やポートフォリオの例もあわせてわかりやすく解説
自分の運用ルールを決める
資産運用のリスクを減らすためには、自分なりの運用ルールを決めることも大切です。
ルールにしたがって投資をすることで、感情に左右されず機械的に運用できます。
例えば、資産の価値が○%下落したら売却するという「損切りルール」や、○%上昇したら利益確定するという「利益確定ルール」などがあります。
損失が拡大する前に抑えることができれば、また別の商品に投資して損失を取り戻すことも可能です。
「まだ上がるかも」という感情で損失を拡大させてしまわないためにも、事前に自分の運用ルールを決めておきましょう。
損切りとは?目安やタイミング、ルールやラインの決め方を紹介
金融知識をつける
資産運用の失敗・リスクを防ぐためには、正しい金融知識を身に付けることが大切です。
投資についての理解を深めることで、自分でも正しい判断ができるようになります。
金融知識を身に付ける方法としては、以下のような勉強方法が挙げられます。
- 経済ニュースをチェックする
- 経済情報番組を観る
- YouTubeやPodcastで学習する
- 金融・投資セミナーに参加する
- FP(ファイナンシャルプランナー)にライフプランを相談する
- 金融関連の本を読む
- 経済・投資に関連する新聞や雑誌を購読する
金融の知識を身に付けるために勉強を習慣化し、資産運用・投資についての理解を深めていきましょう。
お金(投資)の勉強は何からする?初心者はまずこれから!勉強法3選
資金管理を徹底する
生活に影響を及ぼさないためにも、資金管理を徹底した上で資産運用を始めることが重要です。
必ず余裕資金で資産運用を行い、生活に必要な資金と分けて管理しましょう。
例えば、運用に失敗して損失が出てしまった場合でも、すぐに取り返そうとして生活費に手を出してはいけません。
長期で運用すれば損失を取り戻すことが期待できるため、余裕資金の範囲内でじっくりと着実に運用していきましょう。
初心者におすすめの資産運用方法
積立NISA
これから資産運用を始める方は、「積立NISA」から始めることをおすすめします。
積立NISAとは、年間40万円までの投資で得た利益が最長20年間非課税になる制度です。
積立NISAが初心者におすすめの理由として、以下の3つの点が挙げられます。
- 利益が非課税で運用できるため、効率的に資産を増やせる
- 長期・積立・分散投資に適した商品が厳選されているため、比較的リスクが低い
- 積立設定をした後は基本的に何もしなくていい
10〜20年以上先のライフイベントに向けてお金を準備したい場合は、積立NISAの活用がおすすめです。
積立NISAとは?投資初心者におすすめの理由をわかりやすく解説
iDeCo
老後の資産を準備したい場合は、「iDeCo」の活用もおすすめです。
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、公的年金とは別に自分で将来の年金を準備する仕組みのことをいいます。
iDeCoを利用すると、税金の面で以下の3つのメリットがあります。
- 積み立てる掛金が全額所得控除になる
- 利益が非課税で再投資され、効率的に資産を増やせる
- 年金を受け取るときにも控除が適用される
年金であるため運用途中で資金を引き出せないというデメリットはありますが、「老後2,000万円問題」に不安を感じている方は、税金面でもメリットが大きいiDeCoの活用を視野に入れてみましょう。
iDeCo(イデコ)とは?仕組みや始め方、注意点をわかりやすく解説
まとめ:資産運用しない人もまずは金融知識をつけることが大切
資産運用にはリスクが伴いますが、資産運用をしない人にも物価が上昇するリスクや給料・年金が減ってしまうリスクがあります。
正しい金融知識があれば資産運用のリスクを減らすことができるため、資産運用をしない人もまずは金融知識を身に付けることから始めてみましょう。
また、資産運用をこれから始める人には「積立NISA」と「iDeCo」の活用がおすすめです。
ライフイベントには「積立NISA」、老後の生活資金の準備には「iDeCo」をうまく活用しながら、着実に資産を運用しましょう。
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記事監修者
マネカツ編集部
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「税金対策」など、お金に関する情報を発信しています。
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