インフレに強い資産は何?運用のポイントや備える方法を解説
インフレ(インフレーション)が起こるとモノやサービスの価格が上昇し、相対的にお金の価値が下がります。
2022年時点の日本でも緩やかにインフレが起こっているため、インフレに強い資産を保有して運用していくことが大切です。
この記事では、インフレの基礎知識やインフレに強い資産の種類、資産形成のポイントを解説します。
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この記事の目次
インフレ(インフレーション)の基礎知識
物価上昇のこと
「インフレ」とは、モノやサービスの価格(物価)が持続的に上昇する状態のことです。
一般的には景気が良い時期にインフレが起こりやすく、物価の上昇に合わせて企業の利益や従業員の給料も上がるケースが多くあります。
反対に、継続的に物価が下落している状態はデフレ(デフレーション)と言います。
デフレは不景気の時期に起こりやすく、物価の下落とともに企業の利益が減ったり、給料が下がったりするケースが多いです。
インフレになると資産価値が目減りする
インフレは為替とも関係が深く、円安になるとインフレが起きるケースが多くあります。
「1ドル = 110円」から「1ドル = 145円」になれば、同じ1万ドルでも110万円から145万円になり、輸入品の価格が上昇するためです。
インフレによって物価が上がると、以前と同じ値段でモノを購入できなくなるため、現金の価値は相対的に下落します。
現金しか保有していない場合は、インフレになると資産価値が目減りしていくため注意が必要です。
例えば身近なものとしてiPhoneの例を紹介します。
iPhoneは為替の影響を受けて2022年7月に値上げが発表されました。
iPhone13(128GB)の価格は元々9万8,800円でしたが、2022年11月時点では107,800円まで上昇しています。
これまで10万円で買えたiPhone13が2022年11月には買えなくなっており、現金の価値が低下していることが分かります。
日本は物価上昇率2%を目標にしている
政府と日銀(日本銀行)は、物価の安定を図るために2%の物価上昇を目標としています。
日銀が導入した「マイナス金利政策」も、物価が2%上昇するインフレを引き起こすための政策です。
仮に年間2%ずつ物価が上昇すると、10年後には100万円だったモノの値段は約122万円となります。
近年は銀行に100万円を預けていても金利がほとんど付かないため、実質的な預金の価値はどんどん下がっていきます。
日本が2%の物価上昇を目指していることを踏まえ、銀行預金以外の方法による運用を考えなければなりません。
良いインフレと悪いインフレがある
一口にインフレと言っても、「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
良いインフレとは、物価上昇によって企業の業績が伸び、給料も増えて消費が活発になる状態のことです。
物価は上がりますが、その分給与も増えているため物価上昇の影響が少ない状態といえます。
一方の悪いインフレとは、生産コストが高くなったり、世界情勢が悪化したりすることでモノやサービスの値段だけが上がる状態のことです。
生産コストが高いため、物価が上昇しても企業の業績は伸びず、給料としても還元されません。
給料が上がらないことで消費も抑えられ、不景気なのに物価だけが上がる「スタグフレーション」の状態になります。
スタグフレーションとは?日本での事例や対策方法、今後の見解を解説
インフレに強い資産
インフレが起こると現金や預金の資産価値が下落してしまうため、資産運用をする際は「インフレに強い資産」を選ぶことが大切です。
物価の上昇に合わせて価値が上昇する資産が、インフレに強い資産であるといえます。
ここでは、インフレに強い資産の代表的なものを紹介します。
不動産・REIT(リート)
現物資産はその物自体に価値があり、インフレが起きても資産の価値が下がりにくいことが特徴です。
そのため、現物資産である不動産はインフレ時に有効な資産のひとつです。
物価が上昇している局面では土地の価格も上がりやすく、家賃収入も増える傾向にあります。
物価上昇に伴い物件価格が上昇する可能性も高く、インフレ局面でもしっかりと資産を増やすことができます。
ただし、不動産を現物で所有するのは手間がかかる上に、まとまった資金が必要になります。
現物の不動産を所有するハードルが高い場合は、REIT(リート)を活用して間接的に不動産を運用する方法がおすすめです。
REIT(リート)とは?J-REITとの違いやメリットとリスクを解説
金・貴金属類
不動産同様に「金」や「貴金属類」も現物資産であるため、インフレに強い資産といえます。
金は「有事の金」とも呼ばれており、金融危機などが起こった時に資産価値が上がりやすい傾向にある資産です。
金地金(ゴールドバー)は、現物で保有するには管理が難しく、盗難や紛失のリスクもあります。
しかし、金に投資する投資信託やETFを活用すれば、間接的に金を購入できます。
インフレ対策に金投資をしたい場合は、投資信託やETFも視野に入れてみましょう。
金投資のメリット・デメリット!おすすめの投資方法や特徴を解説
株式
株式は、インフレ局面でも資産価値が上昇する資産のひとつです。
インフレになると企業の業績が良くなるケースが多く、株価も上昇する傾向があります。
また、株式投資は売買をして利益を得るだけでなく、配当金や株主優待を受け取ることでも利益が得られます。
配当金や株主優待を出している企業の株を保有しているだけで、安定的にリターンを受け取れます。
ただし、「スタグフレーション」などの悪いインフレ状態になると、企業の業績が伸びません。
「インフレだから株を買う」のではなく、企業業績も合わせてチェックしておきましょう。
株式投資の始め方を初心者向けに解説!メリットや注意点も紹介
外貨
インフレが起こると円の価値が下落するため、相対的に外貨(外国通貨)の価値が上昇します。
そのため、米ドルやユーロなどの外貨を保有しておくとインフレ対策として有効です。
外貨預金で外貨そのものを保有する方法もありますが、株式や投資信託を外貨建てで保有する方法もあります。
自分に合った方法を選んで外貨を保有しましょう。
ただし、日本よりもインフレが進んでいる国の通貨は相対的に価値が下落する傾向にあります。
複数の外貨に分散して保有することで、為替変動のリスク対策をしておきましょう。
外貨預金のメリット・デメリット!リスクを減らす方法や仕組みを解説
インフレに強い資産を作るポイント
インフレに強い資産を分散して持つ
インフレ対策をする際には、インフレに強い資産に「分散投資」することが大切です。
特徴が異なる複数の資産を組み合わせることでリスクを抑えることができ、安定した運用を目指せます。
例えば不動産と金、株式を分散して保有していると、仮に不動産価格が下落しても株式が値上がりしていれば損失をカバーできます。
また、外国株式を保有しておけば、国内の資産価値が低下しても外国資産が値上がりすることで相殺できるかもしれません。
投資する資産や対象地域、タイミングなどを分散し、リスクを軽減しましょう。
分散投資とは?種類やポートフォリオの例もあわせてわかりやすく解説
平常時から運用を始める
インフレ対策をするのであれば、平常時から資産運用を始めておきましょう。
なぜなら、インフレになってから運用を開始するよりもリスクを抑えられるためです。
インフレが起きてから運用を始めようと思っても、インフレのタイミングを見極めるのは難しく機会損失となりリターンが思うように出ない可能性があります。
平常時から運用を開始することで長期運用ができ、徐々にリターンが安定していきます。
安定したリターンを得るためにも、インフレになる前から長期的な目線で運用をするのがおすすめです。
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余裕資金の範囲内で運用する
現金のみの保有ではインフレ時に資産が目減りしていくリスクがありますが、生活に必要なお金まで運用に回すのは危険です。
現金をすべて投資すると急な出費に対応できなくなる可能性があります。
一般的に、運用を始める前に3〜6ヶ月程度の生活費(生活防衛資金)を貯めることが目安とされています。
万が一投資で損をしてしまっても困らないよう生活費をわけて管理しておき、仮に資産価値が下落しても生活に影響しない余剰資金の範囲で運用をしましょう。
【2024】生活防衛資金の目安はいくら?一人暮らしに必要な金額や貯金との違い
インフレに備える方法
金融知識をつける
インフレに備えるためには、まずお金の勉強をして経済・金融に強くなることが大切です。
直接的な備えにはならないものの、大切な資産を守るためにも金融知識を身に付けておきましょう。
例えば、日頃からニュースや新聞をチェックしたり、関連する書籍を読んだりすることで基本的な知識を身に付けられます。
最近ではYouTubeやSNSでもお金に関する情報は得られます。
「どのような資産に投資するべきか」「自分に合った運用方法は何か」「どういうリスクがあるか」などを多方面から考え、判断できるようにしておくことが重要です。
お金の勉強を習慣化して、インフレ対策に有効な資産運用の方法を考えていきましょう。
お金(投資)の勉強は何からする?初心者はまずこれから!勉強法3選
資産運用する
すでに紹介した通り、現金しか保有していない場合は物価が上がるインフレで資産の価値が下がってしまいます。
現金以外の資産に分散投資をして、インフレ局面でも資産を守れるようにしておくことが大切です。
例えば、保有資産の割合を「現金:50%、株式:30%、REIT:20%」に設定しておくと、資産の半分がインフレに強い資産となり得ます。
現金の価値が目減りしても、株式や不動産でカバーできるかもしれません。
適切な資産のバランスを考え、インフレに強い資産運用を始めましょう。
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節約する
家庭でできるインフレ対策として、節約も同時に行っていきましょう。
小さなことであっても、日々の積み重ねが大きなインフレ対策となります。
節約の方法として、以下のようなものが挙げられます。
- 電気代やガス代、スマホの料金プランの見直し
- 「安いスーパーで買う」「まとめ買いをする」などの方法で食費を見直す
- コンビニでの「ついで買い」や外食を減らす
- フリマアプリや地域のフリーマーケットで家電や服などの日用品を安く買う
少しずつでも節約をして、物価が上昇するインフレに備えていきましょう。
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まとめ:インフレに強い資産を持って対策しよう
インフレになると、現金や預金の価値は相対的に下落します。
まずは金融知識を身に付けたり、節約をするなどできることからインフレに備えていくことが大切です。
具体的なインフレ対策としては、不動産や株式、金などのインフレに強い資産を保有することがおすすめでしょう。
インフレに強い資産を分散投資し、安定した運用を目指していきましょう。
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マネカツ編集部
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