近年、日本では「老後2,000万円問題」が話題となっており、老後の生活費を自分で蓄えることの重要性が高まってきています。

自分の予算や年齢、ライフスタイルに合った資産運用の方法を選び、将来に向けて着実に準備していくことが大切です。

この記事では資産運用のおすすめ9選や、予算別・年齢別の資産運用の方法について解説します。

自分に合った資産運用を選び、少しずつ老後の生活資金を準備していきましょう。

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資産運用とは?

資産運用とは?

「資産運用」とは、自分のお金(資産)を預貯金や投資に配分して効率的に増やすことを指します。

資産運用がおすすめされる理由は、老後の生活費やライフイベントにかかるお金に備える必要があるからです。

「老後2,000万円問題」が話題になったように、老後の生活費は公的年金だけでは足りない現状があります。

また、日本は超低金利の状態が続いているため、昔のように銀行にお金を預けているだけでは資産を増やすことは難しいです。

さらにインフレによって物価が上昇すると、家計への負担はどんどん大きくなっていきます。

こうした状況の中で将来の生活資金を準備するために、資産運用をしてお金を増やしていくことがおすすめされているのです。

資産運用のおすすめ9選【投資初心者向け】

資産運用のおすすめ9選【投資初心者向け】

資産運用の重要性が分かっても、投資初心者の方は何から始めていいのか分からないことも少なくありません。

勉強して知識をつけることも大事ですが、少額からでも実際に取引を始めてみることがおすすめです。

ここでは、1万円以内で始められるおすすめの資産運用を紹介します。

積立NISA(一般NISA)

初心者の方が資産運用をする場合、「積立NISA(つみたてNISA)」の利用がおすすめです。

積立NISAとは、年間40万円までの積立投資で得た利益が、最長20年間非課税になる制度です。

長期の資産形成に適した金融商品に少額から簡単に投資できるため、投資の初心者でも始めやすいという特徴があります。

2024年からは「新しいNISA」として制度の拡充が予定されており、現行のNISAよりもさらに使いやすくなります。

新しいNISAについて

制度現在の積立NISA制度新しい積立NISA(つみたて投資枠)
成長投資枠(一般NISA)の併用併用不可併用可
年間投資枠40万円120万円
非課税保有期間20年間無期限
非課税保有限度額800万円1,800万円(成長投資枠との合計)
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
非課税枠の再利用不可

新しいNISA制度で特に大きく変わるポイントは「年間投資枠」と「非課税保有期間」です。

年間投資枠は40万円から120万円に大きく拡大し、非課税保有期間も最長20年から無期限になるため、非課税の恩恵をより受けやすくなります。

さらに、現行の制度では一般NISAと積立NISAの併用ができないため、NISAを利用する際はどちらかを選択してから始める必要がありました。

しかし、新しいNISAでは成長投資枠(一般NISA)とつみたて投資枠(積立NISA)の併用が可能となっています。

投資スタイルや資金の使い道に合わせて、成長投資枠とつみたて投資枠を使い分けられて便利です。

出典:金融庁「新しいNISA」

iDeCo(イデコ)

積立NISAの非課税枠を使い切っても資金に余裕がある場合は、iDeCoの活用も検討してみましょう。

iDeCoは自分で年金を準備するために毎月掛金を拠出して運用し、老後に受け取る個人年金制度です。

iDeCoには以下の3つの税制メリットがあります。

  • 掛金が全額所得控除
  • 運用で発生した利益は非課税で再投資
  • 受け取る時にも控除が適用

職業によって毎月拠出できる掛金の上限額が異なることもiDeCoの特徴です。

リスクが高い株式中心の商品もあれば、元本保証の定期預金型の商品もあるので、自分に合った商品を選んで運用しましょう。

投資信託

投資信託とは、投資のプロにお金を預けて代わりに運用してもらう商品です。

預けたお金は株や債券などで運用され、発生した利益が投資家に還元される仕組みになっています。

投資信託のメリットは、自分で運用する必要がないという点です。

投資する銘柄を選んだり、売買するタイミングを見極めたりする必要がないため、知識に自信がない初心者の方でも始めやすいでしょう。

また、投資信託を毎月積み立てる「投信積立」なら、最低100円から購入することができます。

少額から始められるため、まずは資産の値動きに慣れるための投資としてもおすすめです。

単元未満株(ミニ株)

日本株の売買単位(単元)は100株からが一般的ですが、証券会社によっては単元未満(1株単位や金額指定)で取引ができます。

まとまった資金がなくても始めやすいことが単元未満株の特徴です。

例えば、株価が2,000円の銘柄を取引する場合、通常は最低でも「2,000円 × 100株 = 20万円」が必要となりますが単元未満株に対応している証券会社を使えば1株(2,000円)から購入可能です。

単元未満株は、証券会社によって「ミニ株」「S株」「ワン株」などと呼ばれています。

少額から取引を始められるため、株式投資に興味がある方は単元未満株から始めてみましょう。

ポイント投資

ポイント投資とは、ショッピングで貯めたポイントを使用して投資するサービスのことです。

楽天ポイントやLINEポイント、Tポイントなどを使うことができます。

ポイント投資のメリットは、現金を使わずに投資を体験できる点です。

「いきなり現金を投資に回すのが怖い」という方でも安心して始めることができます。

また、ポイント投資で購入した銘柄を売却した際には現金で戻ってきます。

ポイント投資をして売却することで、実質現金化することも可能です。

債券

債券とは企業や国、地方公共団体などが資金を集めるために発行するものです。

保有している間は利子を受け取ることができ、満期を迎えると額面金額で返済されます。

債券には国が発行する「国債」や、企業が発行する「社債」などがあります。

なかでも日本政府が発行している「個人向け国債」は、初心者が始めやすい商品としておすすめです。

個人向け国債は元本や利子の支払いを国が保証しており、比較的安全性が高いことが特徴になっています。

1万円から購入することができ、少額から始めやすい点もメリットと言えるでしょう。

銀行預金よりも高い利子が期待できるため、リスクの少ない運用をしたい場合は個人向け国債の購入を検討してみましょう。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、AIが自動で金融商品の選定から資産の分配、発注までを行ってくれるサービスです。

手間をかけずに運用できるため、忙しい方でも簡単に資産運用を始めることができます。

ロボアドバイザーを利用する際、自分で行うのはリスク許容度や積立金額などの簡単な設定だけです。

あとは入金するだけで発注、積立、資産分配を全自動で行ってくれます。

自分で運用するよりも手数料がかかるデメリットはありますが、運用の負担を軽減できる点は大きなメリットです。

「忙しくて運用に時間を使えない」という方は、ロボアドバイザーの利用してみましょう。

REIT(不動産投資信託)

REITとは投資家から集めた資金で複数の不動産を運用し、得られた利益を投資家に分配する仕組みの商品です。

実際に不動産投資をする場合は数百万円〜数千万円の資金が必要となり、ローンを組むケースも出てきます。

しかし、REITは少額から投資することができ、REITに投資する投資信託であれば100円からの購入も可能です。

少額の資金でも、不動産投資のメリットである家賃収入を分配金として受け取ることができます。

不動産投資に興味がある方は、金銭的な負担が小さいREITから始めてみても良いでしょう。

不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングとは、多数の投資家で資金を出し合って特定の不動産を購入し、運用会社が運用を行うことでリターンを分配する仕組みのことです。

一般的な不動産投資のようにまとまった資金を用意しなくても、1万円から投資を始めることができます。

REITと似ている部分も多いですが、利回りは不動産クラウドファンディングの方がやや高い傾向にあります。

一方で、REITの方が換金の自由度が高く、選択肢も多いことが特徴です。

不動産クラウドファンディングとREITは、それぞれメリット・デメリットがあります。

特徴をしっかりと比較して自分に合った投資方法を選びましょう。

【予算別】資産運用のおすすめ

【予算別】資産運用のおすすめ

次に、予算別の資産運用の方法について解説します。

ご自身の予算に合わせて適切な運用方法を選びましょう。

少額〜100万円

100万円以内の予算で資産運用をする場合、以下の運用方法がおすすめです。

  • 積立NISA
  • 単元未満株
  • 投資信託
  • ポイント投資

上記で挙げた運用方法は1万円未満から始めることができ、初心者でも気軽に始められます。

100万円以内の予算で考えている場合は、上記の運用方法から少しずつ始めて資産運用に慣れていきましょう。

仮想通貨やFXも少額から始められますが、値動きが大きく相場が読みにくいため初心者にはハードルが高くなっています。

100万円〜1,000万円

100万円以上の予算で資産運用をする場合は、以下の運用方法がおすすめです。

  • iDeCo
  • 株式
  • REIT
  • 不動産投資

まずは積立NISAの非課税枠を満額使い切り、その上でいくつかの商品に分散投資するのがいいでしょう。

100万円〜1,000万円ほどの資金があればローンを組むことができるため、不動産投資も視野に入ってきます。

運用方法の選択肢が広がってくるため、自分に合った投資方法で予算を配分していきましょう。

1,000万円〜1億円

1,000万円以上の運用資金がある場合、これまでの運用成績や自分に合った投資スタイルを見極めながら商品のバランスを考えていくことが重要です。

資産配分の割合を考えつつ、最適なポートフォリオを探していきましょう。

資産が少額だと多くの商品に分散できませんが、1,000万円を超える資金があればさまざまな商品に分散できます。

債券を追加してみたり、不動産を追加したりと、好みの投資方法を始めてみても良いでしょう。

【年代別】資産運用の考え方

【年代別】資産運用の考え方

年齢によって資産運用できる期間が異なるため、投資に対する考え方も変わります。

ここでは、年代別の資産運用の考え方について解説します。

20代は時間を味方につける

20代は運用できる期間が長いため、時間を味方につけた長期的な運用を心掛けましょう。

時間をかけて運用すると利益が利益を生む「複利効果」を得ることができます。

例えば、毎月2万円を年利3%で20年間運用したと仮定すると、元本480万円に対して利益が約176万円となります。

積立NISAやiDeCoなどは長期運用できる制度であるため、しっかりと活用して複利効果の恩恵を受けましょう。

また、100万円以上の資金が貯まったら株も視野に入れることをおすすめします。

30代〜40代はライフスタイルに応じて金額を変える

30代〜40代は、人によってライフスタイルが大きく異なる年代です。

自分の生活に合わせて、無理のない範囲で投資に回していきましょう。

例えば、小学生の子どもがいる場合は約10年後に大学進学の費用などが必要となります。

投資信託で10年間運用を続ければ、子どもの進学費用をある程度準備できるでしょう。

準備したいお金が20年以上先の老後資金なのか、10年後の教育資金なのかによって取るべきリスクや選ぶ金融商品が変わってきます。

基本は積立NISAとiDeCoで運用しつつ、必要に応じてロボアドバイザーや投資信託、不動産投資などを活用していきましょう。

50代以降はリスクを抑えた運用を目指す

50代以降は子どもが独立したり、住宅ローンを払い終えるタイミングになっていきます。

生活に余裕が出てくると同時に老後を現実的に視野に入れる時期ともいえるでしょう。

老後生活までの期間が短いため、資産を「増やすこと」よりも「減らさないこと(守ること)」を意識することが大切です。

例えば、比較的リスクが高い株式投資の割合を減らし、投資信託や不動産、債券などの割合を増やしながら安定した運用をしていくのが良いかもしれません。

不動産であれば家賃収入を年金の足しにしたり、子どもや孫に資産として引き継いだりすることもできます。

セカンドライフに向けて少しずつ資産の配分を変えていくことを視野に入れましょう。

資産運用でおすすめの投資先の選び方

資産運用でおすすめの投資先の選び方

予算別や年代別の資産運用の考え方がわかったら、次に具体的な商品・銘柄選びを行いましょう。

ここで重要なポイントは「運用期間」「運用コスト」の2点です。

運用期間で選ぶ

投資は、大きく「短期投資」と「長期投資」の2種類に分けられます。

短期投資で得られる利益は主にキャピタルゲインです。

キャピタルゲインとは金融商品の値上がり益のことで、株式や債券、不動産などを「安く買って高く売る」ことで得られる利益を指します。

一方、長期投資で得られる利益は主にインカムゲインです。

インカムゲインは、金融商品を保有し続けることで得られる利益を指し、株式の配当や債権の利子、投資信託の分配金などが当てはまります。

運用収益を投資元本に組み入れることでさらに収益効果が高まる「複利効果」を得やすいのも、長期投資の特徴です。

当然ながら、短期投資に比べて長期投資の方が、収益が出るまでに時間がかかります。

ただし、投資期間が長くなるほど、金融商品の価格のブレを抑えてリスクを下げやすくなります。

運用コストで選ぶ

運用期間が長期でも短期でも、投資をする際にはコストがかかります。

例えば、投資信託に投資をする際に必要となる主なコストは、以下の通りです。

  • 購入時手数料(販売手数料)
  • 運用管理費用(信託報酬)
  • 信託財産留保額

まず、投資信託を購入する際は「購入時手数料」が必要となります。

購入時手数料が無料(ノーロード)となっているものを選べば、運用資金以外に手数料を支払う必要はありません。

投資信託を保有している間は、運用しているお金の中から間接的に運用管理費用として「信託報酬」が差し引かれます。

運用商品によっては、売却時に「信託財産留保額」が発生する場合もあります。

投資信託の場合、目論見書や商品説明資料に必要なコストが明記されているため、購入時は必ず確認するようにしましょう。

出典:一般社団法人投資信託協会「投資信託のコスト」

資産運用で失敗しないためのポイント

資産運用で失敗しないためのポイント

資産運用の目的を決める

実際に資産運用を始める前に、「資産運用をする目的」を明確にすることが大切です。

目的が定まると運用の方法や計画を決めやすくなります。

例えば、10年後に必要な教育資金の準備を目的とする場合、時間に余裕があるため比較的リスクを取って運用することができます。

しかし、3年後の住宅購入時の頭金を貯めることが目的の場合、少しリスクを抑えて運用しなければなりません。

「どの運用方法を選ぶか」「どれくらいのリスクを取って運用するか(利回り)」を明確にするためにも、まずは資産運用の目的を決めましょう。

資産運用について勉強して知識をつける

資産運用について勉強して知識をつける

経済や資産運用に関する知識がないままいきなり投資を始めると、失敗する可能性が高くなります。

始める前に資産運用についての勉強をし、知識を身に付けてから運用を始めましょう。

例えば、書店で初心者向けの本を買ったり、各地で開催されているセミナーに参加したりと、勉強する方法はさまざまです。

現在はYouTubeで分かりやすく解説してくれている動画もあり、無料で気軽に勉強することもできます。

自分に合った方法で資産運用の勉強を始め、少しずつ知識を身に付けていきましょう。

金融商品の特徴を理解する

資産運用での失敗を防ぐためには、金融商品の特徴を理解することも大切です。

自分の運用目的に合った適切な商品を選ぶためにも、金融商品ごとの特徴を把握しておきましょう。

投資の世界におけるリスクとは「価格の振れ幅」のことを指します。

つまり、ハイリスクと呼ばれる商品は価格の振れ幅が大きく、大きなリターンを上げられる可能性がある一方で、大きな損失を抱える可能性もあるということです。

商品の特徴を理解せずに資産運用を始めると、過度にリスクを取り過ぎて大きく資産が減ってしまったり、リスクを抑え過ぎて想定よりもリターンを得られないことがあります。

金融商品ごとのリスク・リターンの関係を正しく理解し、自分に合った商品を選びましょう。

リスクの分散を意識する

リスクの分散を意識する

1つの金融商品のみを購入していると、その商品が値下がりしたときに保有資産全体も値下がりしてしまいます。

こうしたリスクを軽減するために「長期投資」「積立投資」「分散投資」を意識することが重要です。

「長期投資」「積立投資」をすることで時間が分散されます。

1度にまとめて投資すると価格の急変動でダメージを受けますが、複数回に分けて購入することで値動きの影響を軽減できます。

また、複数の投資対象に分けて投資する「分散投資」も重要です。

異なる値動きをする資産を複数持つことで、一つの投資先が下落しても他の投資先で損失をカバーすることができ、資産全体の下落リスクを抑えられることがあります。

資産を大きく減らさないためにも「長期投資」「積立投資」「分散投資」を心掛けましょう。

長期投資であることを理解する

資産形成においては、「長期投資」の考え方が重要です。

長期投資とは、短期間で売買を繰り返すのではなく、数年〜数十年単位の長期にわたって購入した金融商品を保有し続ける投資方法のことです。

一般的に、投資期間が長くなるほど運用パフォーマンスのばらつきが平準化されて、安定した収益を得やすくなるといわれています。

長期にわたってコツコツ投資を続ければ、購入タイミングの分散によって高値で購入してしまうリスクも抑えやすくなります。

加えて、「複利効果」を得やすいのも長期投資のメリットです。

投資で得られた収益を元本に組み込むことで、雪だるま式に利益が膨らんでいきます。

1〜2年程度の運用では、この複利効果を得づらくなってしまうため、なるべく長期間の運用を心がけましょう。

FPに相談する

資産運用に関して自分で本を読んだり、調べたりしても不安な場合はプロに相談しましょう。

お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。

FPは資産運用や保険、家計管理のことなど幅広い分野の知識を持っており、お金に対する不明点について相談できたりたり、自分にとって最適なプランを提案してくれたりします。

FPによっては無料相談に対応しているケースもあり、気軽に悩みを相談することができます。

資産運用で分からないことがある方は、相談できるFPがいないかを調べてみましょう。

まとめ:資産運用のおすすめの中から自分に適したものを選ぼう

資産運用のおすすめの中から自分に適したものを選ぼう

将来に向けた資産を準備するためには、資産運用をしていく必要があります。

目標とする予算や年代、ライフプランなどによって運用の方法が変わってくるため、自分に合った運用方法を探していきましょう。

また、資産運用で失敗しないためには「勉強をして金融知識を身に付ける」「リスクを分散する」などが重要です。

お金のプロにも相談しながら、自身の資産運用を成功させましょう。

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